麝香とは、古来より高貴薬として取り扱われ今でも超高級薬です。
昔の泥棒は病院に忍び込んだらまず最初にお金ではなく麝香を探して盗んだと言われるほど少量で高価なものなのでした。
韓国の医療ドラマ「ホジュン」でも麝香が盗まれるシーンが出てきました。昔は一般の人に使うというよりも王族や貴族の為の生薬だったのでしょう。
それが今では一般人の私でも飲む事が出来るのだからありがたい時代です。
この麝香は歴史は古く、約2000年前に書かれた中国最古の薬物書「神農本草経」では、上薬(命を養う薬)に分類されており、その効果として『久しく服用すると「邪気」を除き、夢をみて飛び起きたり、寝ていて悪夢にうなされる事がなくなる』と記されています。
つまり「気」の巡りをスムーズにすることにより、自然な睡眠リズムを整え、ストレスによる睡眠中の過度の緊張を和らげ、睡眠障害を改善する効果があるという事です。実際に麝香は睡眠改善薬、飲むアロマテラピーとも言われています。
また本草書として最も著名な「本草網目」では、心を鎮め精神を安らかにし、一切な悪気及びおびえ、恍惚を治すばかりでなく、お腹の冷えや痛み、つかえを取り、さらに酒毒を消し去る効果もあるとされています。
漢方医学では「百病は気より生じる」とされ、このことは即ち「気」の巡りがスムーズであれば「病」におちいることなく健康を維持できるという事でもあり、この意味で麝香はストレス社会の現代において万病の予防薬ともいえます。
麝香は気付け薬と呼ばれる分類のお薬や効果の高い理気薬(気を巡らす漢方)にはよく配合されています。その中でも多く含まれるお薬に救心感応丸氣(きゅうしんかんのうがんき)がありますが、やはり「気」の巡りが滞ることによる様々な症状に用いて大変喜ばれております。
解説協力 愛媛四国中央市 鈴木薬局 http://www.suzuki-sizenyaku.com/