仏教最古の匂い袋訶梨勒

訶梨勒(かりろく)とは、インド原産の訶子という諸病を治す霊力があると伝えられている生薬を、魔除けとして袋に入れて飾ったことが始まりとされる匂い袋です。

涅槃図

訶梨勒は仏教でも登場します。

こちらは言い伝えの内容になりますが、お釈迦様の時代にも訶子は万能薬とされていたので、お釈迦様が涅槃に入られる直前に、天上から母親のマーヤ夫人が現れ、より長く生きて欲しいという願いを込めて、横たわるお釈迦様に向けて訶梨勒を投げたそうです。

しかし訶梨勒は沙羅双樹の枝に引っかかりお釈迦様に届くことはありませんでした。

この様子はお釈迦様が入滅した時に様子を描いた涅槃図にも描かれています。

涅槃図は、書き手により様々な種類がありますが、大抵はお釈迦様の左側の沙羅双樹の枝に訶梨勒と推測される袋が掛かっている様子が描かれています。

日本の訶梨勒

日本では室町時代から新年や慶事の席に訶梨勒を魔除けとして飾る習慣がありました。

玄関に掛けると、一年間は悪鬼を家に寄せ付けない力があると云われています。

また、病気の方への捧げ物でもありました。

聖武天皇四十九日の法要の時に光明天皇が献納した訶梨勒が正倉院に納められていますので、身体の弱かった聖武天皇の為に献納したのかもしれません。