丁子の徹底解説

丁子は漢方の世界では痛み止めとして使われてきました。

特に歯科医療の痛み止め、つまり歯痛薬です。花蕾を痛い方の歯で噛みしめる事で痛みを和らげていました。殺菌作用、弱い麻酔・鎮痛作用がありますから今でいう「抗生剤」と「鎮痛剤」の合剤という感じでしょうか。現在でも「今治水(こんじすい)」に丁子油が入っており歯痛のお薬として使われています。

また女神散(にょしんさん)という漢方処方にも含まれています。

女神散は、本来は「軍中七気(戦場における興奮状態にて情緒が乱れたもの)」を治療するための漢方でしたが、浅田飴で有名になった浅田宗伯が女性に処方し沢山の方が病状が改善した事が広まり、今では女性のための漢方のような立ち位置になっています。

女神散を使う目安は

「気」の流れの停滞(気滞)と「血」の流れの停滞(瘀血)が同時に起こっている状態の時です。

気滞はストレスや、緊張、感情の起伏などで滞りやすく、憂うつ感、胸苦しい、腹部膨満感、吐き気、腹痛などの症状が生じます。これに加え、瘀血は血の流れが悪いことにより生じる頭痛、肩こり、冷えのぼせ、月経痛などの症候がみられます。

要は、気血の巡りが悪くて産前産後の神経症・月経不順・更年期障害・月経前症候群が起こってるような方に効果を表します。

女神散での丁子の役割は香りにより気を巡らせ、余分な熱を取りながら体を温め胃腸の働きも助ける事です。

また漢方では珍しい打撲による腫れや痛みに適応を持つ治打撲一方(じだぼくいっぽう)、

「しゃっくり」に適応をもつ柿蒂湯(していとう)にも含まれております。

治打撲一方では丁子の持つ発散性、気血を巡らす事による熱や痛みを発散する事で、

柿蒂湯では体の中から温めることにより「しゃっくり」を止める事に一役買っています。どちらも丁子の持つ「香り」がとても大切な効能となっています。

解説協力 愛媛四国中央市 鈴木薬局 http://www.suzuki-sizenyaku.com/