桂皮は漢方の世界では非常に沢山の漢方薬に含まれています。
探して数えるのが大変なほど一般的によく配合されています。その中でも漢方界で1番の有名人です。
有名漢方の葛根湯にも桂皮は含まれています。「葛根湯って何のお薬?」と聞くとほとんどの方が自信満々に「風邪薬!」と答えてくれます。ちょっと詳しい人は「風邪のひき始めの薬」と言ってくれるかもしれません。
落語に葛根湯医者というお話があります。
患者1:「先生様、わしゃ、頭が痛うてかなわんのですが…」 医者 :「じゃあ、葛根湯をおあがり」 患者2:「先生、腹が痛いんでございますが」 医者 :「それなら、葛根湯をおあがり」 患者3:「先生、あっしゃ、目が痛えんで。」 医者 :「ああ、葛根湯をおあがり。はい、次の人…」 付添い:「ええ、あたしゃ、その…、つきそいにきただけですが」 医者 :「いいから、まず、葛根湯をおあがり」
なんでもかんでも葛根湯を出すダメな医者のことをネタにした小話なのですが、
これは専門家からすると「実は優秀な医者なのではないか!?」という見方も出来ます。
それくらい証さえ合っていれば葛根湯はあらゆる病状に使うことができるお薬という事です。最後の付き添いの人も望診をしただけで風邪のひき始めだと見抜いた可能性もあるのです。
一般的には実際に風邪のひき始めに効果を表してくれるお薬なのですが、1800年前の葛根湯が紹介されている書物「傷寒論」には風邪薬とは一言も書いておりません。
葛根湯は首の後ろがこわばり汗はかかないが寒気あり頭痛や熱が出た時に有効です。と書いてあります。
首のコリ、肩こり、頭痛だけでなく、現在では感冒、鼻かぜ、蓄膿症、扁桃腺炎、結膜炎、乳腺炎、湿疹、蕁麻疹、肩こり、神経痛、偏頭痛の効能を持つお薬なのです。
葛根湯医者も実は有能だったかもしれない説もわかっていただけましたか?
この葛根湯の中の桂皮ですが、温中補陽、散寒止痛、温通経脈作用をもち、気と血を巡らす事で体を温めたり痛みを取ったりしてくれるのです。葛根湯の効果に絶対に欠かすことの出来ない生薬なのです。
解説協力 愛媛四国中央市 鈴木薬局 http://www.suzuki-sizenyaku.com/