プルースト効果(香りと記憶)

脳と記憶と香り

お線香の香りを嗅ぐと、子供の頃に祖父祖母の家で遊んだ記憶を思い出すことは無いでしょうか。


香りを嗅ぐことにより、昔の記憶や体験が蘇ることをプルースト効果を言います。

この様なことが起きる理由は鼻と脳の仕組みにあります。

人間の脳には、感情や記憶などをつかさどる(大脳辺緑系)と

合理的な思考や言語機能をつかさどる(大脳新皮質)が存在しています。

基本的に外的刺激の情報は、(大脳新皮質)へ伝達され、その後(大脳辺緑系)の記憶をつかさどる(海馬)という器官に伝達されます。

しかし五感の中で唯一嗅覚からの情報は、(大脳辺緑系)に直接伝達処理されます。

そして(大脳辺緑系)は記憶をつかさどる器官である為、プルースト効果という現象が起きます。

マルセス・プルーストとプルースト効果


マルセス・プルーストとはフランスの小説家です。
プルーストが半生をかけて書き上げた作品(失われた時を求めて)は非常に有名であり、日本語訳は原稿用紙1万枚にもなる長大作です。

この小説の中で、紅茶とマドレーヌについてこの様なシーンがあります。

「今や家の庭にあるすべての花、スワン氏の庭園の花、ヴィヴォンヌ川の睡蓮、善良な村人たちとそのささやかな住まい、教会、全コンブレーとその周辺、これらすべてががっしりと形をなし、町も庭も、私の一杯のお茶からとび出してきたのだ。」

主人公は母親から出された紅茶とマドレーヌを口にした瞬間、幼い時に親戚の叔母が出してくれた紅茶とマドレーヌの味と同じだと気付き、幼少期の記憶が蘇るといったお話です。

このシーンがあったことから、香りにより記憶が蘇る現象のことを(プルースト効果)と呼ぶようになりました。